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動機づけ面接(MI)の基礎と原則

動機づけ面接(MI)の基礎と原則

キャリアコンサルタントのイメージ

動機づけ面接(MI)[キャリアコンサルタント試験用語]は、「変わりたい」という気持ちを自ら引き出し、行動へとつなげるための、クライエント主体のアプローチです。

従来のアドバイスや指示を与えるようなカウンセリングとは異なり、MIでは、相談者自身が持っている意欲や可能性を何よりも大切にします。そして、その内なる力を引き出すことに焦点を当てるのです。

例えば、キャリアチェンジや新しいスキルを身につけたいと考えているけれど、なかなか一歩を踏み出せない人。そんな、目標達成の必要性は感じながらも、迷いや不安を抱えている方にとって、MIは非常に有効な手法となります。

MIでは、相談者の言葉にじっくりと耳を傾け、共感しながら、その人が本当に大切にしていることや、心の奥底にある願望を探っていきます。まるで、眠っている宝石を磨き上げるように、相談者自身が気づいていない強みや、行動を起こすためのエネルギーを見つけ出すサポートをするのです。

一方的に「こうするべきだ」と押し付けるのではなく、「どうしたいですか?」「どんな可能性がありますか?」といった問いかけを通して、相談者自身が解決策に気づき、自ら行動していく力を育みます。

MIは、相談者の主体性を尊重し、その成長を温かく見守る、そんな寄り添う姿勢が特徴と言えるでしょう。MIの根幹をなすのは、以下の4つの基本的な原則です。

1.共感を示す:Express Empathy

面談中のイメージ
 
動機づけ面接(MI)で最も大切な要素の一つが、クライエントへの共感を示すことです。これは、単に相手の言葉を聞くだけでなく、その言葉の奥にある感情や考え、そして世界の見え方を深く理解しようと努める姿勢を意味します。

まるで、クライエントの靴を履いて、同じ道を歩んでみるようなイメージです。「あなたは~と感じているのですね」といった共感的な言葉は、その理解を示すための強力なツールとなります。

これらの言葉は、クライエントが抱える感情を認め、尊重しているというメッセージを伝えることで、安心感と信頼感を育みます。心を開いて話しても大丈夫だという感覚が、クライエントの本音を引き出すための土壌となるのです。

共感を示すことは、クライエントとの間に強固な信頼関係を築く上で不可欠です。人は、自分の気持ちを理解してくれる相手には心を開きやすいものです。共感的な態度で接することで、クライエントは自分が一人ではないと感じ、変化への抵抗感を和らげることができます。

しかし、共感は同情とは異なります。同情は、相手の苦しみに寄り添い、同じように悲しむことですが、共感は、相手の立場や感情を理解しようと努めることです。MIにおける共感は、クライエントの感情に巻き込まれるのではなく、客観的な視点を保ちつつ、その内面世界に寄り添うイメージです。

共感的な言葉や態度は、クライエントが自身の課題や目標について深く考えるきっかけを与えます。理解されているという安心感の中で、クライエントは自身の内発的な動機に気づきやすくなり、変化への意欲を高めることができるでしょう。

このように、MIにおける共感を示すことは、単なるテクニックではなく、クライエント中心のアプローチを体現する上で欠かせない、根幹となる姿勢なのです。

2.矛盾に気づかせる:Develop Discrepancy

相談中のイメージ
 
動機づけ面接(MI)では、クライエント自身が変化への意欲を高めることが非常に大切にされます。そのための重要なアプローチの一つが、「矛盾に気づかせる (Develop Discrepancy)」という技術です。

これは、クライエントの現在の行動や状況と、クライエントが心の中で望んでいる未来や目標との間に存在するズレ、つまり矛盾に焦点を当て、それをクライエント自身に認識してもらうことを目指します。

たとえば、あるクライエントが「健康的な生活を送りたい」と強く思っている一方で、「ついつい毎日夜食を食べてしまう」という現状を抱えているとします。

この時、MIの面接者は、頭ごなしに「夜食を食べるのは健康に悪いですよ!」と指摘するのではなく、クライエントの言葉を丁寧に拾い上げ、次のような問いかけを試みます。

「〇〇さんは、健康的な生活を送りたいと強く思っていらっしゃるのですね。一方で、今は毎晩夜食を召し上がっているとのことですが…」。このような問いかけによって、クライエントは自身の言葉で語った「願望」と、現在の「行動」との間に、客観的に矛盾が存在することに気づきやすくなります。

重要なのは、面接者が一方的に矛盾を指摘するのではなく、あくまでクライエント自身の言葉や語り口に基づいて、その矛盾を映し出す鏡のような役割を果たすことです。このプロセスを通じて、クライエントは「変わりたい」という気持ちを内発的に強めていきます。

なぜなら、外部から指摘された変化ではなく、自身が認識した矛盾を解消したいという自然な欲求が生まれるからです。矛盾に気づくことは、現状維持の心地よさから抜け出し、変化への第一歩を踏み出すための強力な動機付けとなるのです。

ただし、このアプローチは、クライエントを責めたり、追い詰めたりする意図で行われるべきではありません。あくまで、クライエントの自己認識を高め、主体的な変化を促すための、優しく、共感的なコミュニケーションの中で行われるべきです。

クライエントのペースに合わせ、丁寧に矛盾を探り、共有していくことが、MIにおける「矛盾に気づかせる」技術の核心と言えるでしょう。

3.抵抗に対処する:Roll with Resistance

アドバイスを受けるイメージ
 
動機づけ面接(MI)でクライエントが変化に抵抗する言動を示す場面、ありますよね。そんな時、ついつい「それは違います!」「こうするべきです!」と反論したくなる気持ちをぐっとこらえてみましょう。

MIの「抵抗を受け流す (Roll with Resistance)」という考え方は、クライエントの抵抗に正面からぶつかるのではなく、まるで川の流れのように受け止め、別の方向へと導くイメージです。

たとえば、クライエントが「どうせ私には無理ですよ…」と諦めかけた言葉を発したとします。ここで「そんなことありません!頑張ればできます!」と否定してしまうと、クライエントはさらに自分の殻に閉じこもってしまうかもしれません。

しかし、「そう考えるのですね」とまずは受け止め、その気持ちに寄り添う姿勢を示すことで、クライエントは安心して自分の気持ちを話せるようになります。

さらに、「他にどんな可能性があると思いますか?」と問いかけることで、クライエント自身が新たな視点に気づくきっかけを与えられます。これは、私たちカウンセラーが一方的に解決策を与えるのではなく、クライエント自身の内発的な動機を引き出すMIの重要な原則に基づいています。

抵抗は、クライエントがまだ変化に対して不安を感じていたり、準備が整っていないサインと捉えることができます。無理に変化を促そうと焦るのではなく、クライエントのペースを尊重し、主体性を大切にしながら関わっていくことが重要です。

抵抗の奥にあるクライエントの気持ちに耳を傾け、共感的な理解を示すことで、信頼関係が深まり、結果的に変化への扉が開かれることもあるのです。「抵抗を受け流す」とは、決してクライエントの意見にただ従うということではありません。

クライエントの言葉を受け止めつつ、様々な角度から問いかけたり、異なる視点を提供したりすることで、クライエント自身が考えを深め、変化への意欲を高めていくプロセスを支援することなのです。

焦らず、クライエントのペースに合わせて、根気強く関わっていくことが、MIにおける抵抗への効果的な対処法と言えるでしょう。

4.自己効力感を支える:Support Self-Efficacy

助言中のイメージ
 
動機づけ面接(MI)では、クライエントが「自分ならできる」という自信、つまり自己効力感を育むことをとても大切にしています。なぜなら、変化を起こすためには、まず「自分にもできるかもしれない」という希望を持つことが不可欠だからです。

自己効力感が高まることで、クライエントは変化への一歩を踏み出す勇気が湧き、困難に立ち向かう粘り強さも増していきます。自己効力感を支えるためにMIでよく用いられるのが、過去の成功体験を一緒に振り返るという方法です。

「以前にも大変な状況を乗り越えられた経験があるのですね」といった声かけを通じて、クライエントは過去の自分の力を再認識し、「あの時できたのだから、今回もきっとできる」という感覚を呼び覚ますことができます。過去の成功体験は、未来への自信の源となるのです。

また、目標達成への道のりを小さなステップに分解することも、自己効力感を高める上で非常に有効です。最初から大きな目標に挑戦しようとすると、どうしても不安やプレッシャーを感じやすくなります。

「まずは小さなことから始めてみませんか?」という提案は、クライエントに「これなら自分にもできそうだ」という安心感を与え、最初の一歩を踏み出しやすくします。小さな成功体験を積み重ねることで、「やればできる」という実感、つまり自己効力感が育っていくのです。

さらに、クライエントの持っている強みや資源に焦点を当てることも重要です。「〇〇さんは、いつも周りの人を大切にされていますよね」「△△さんの粘り強さは素晴らしいと思います」といった言葉は、クライエントが自身の持つ力に気づき、それを変化へのエネルギーに変えていく助けとなります。

自己効力感を支えるアプローチは、決してクライエントを過度に励ますことではありません。現実的な視点を持ちながら、クライエント自身の内にある可能性を引き出し、それを信じる気持ちを育むことなのです。

過去の成功体験、小さなステップ、そして自身の持つ強みに気づくことで、クライエントは「私ならきっとできる」という確信を深め、主体的に変化へと向かう力を得ることができるでしょう。MIは、そのプロセスを丁寧にサポートしていくのです。

動機づけ面接の4つの基本スキル

カウンセリング中のイメージ
 
上記の原則に基づき、動機づけ面接(Motivational Interviewing: MI)では以下のような具体的なコミュニケーションスキルが用いられます。

  • 開かれた質問 (Open-ended Questions)
    「はい」「いいえ」で答えられない質問をすることで、クライエントがより深く考え、自分の言葉で語ることを促します。「どのようなことに困っていますか?」「今回のキャリアチェンジで何を大切にしたいですか?」といった問いかけが例です。
  • 肯定的表明 (Affirmations)
    クライエントの強みや努力、意図を認め、肯定的な言葉で伝えます。「~さんは、目標に向かって粘り強く取り組んでいますね」「~さんの~な点は素晴らしいですね」といったフィードバックは、クライエントの自己肯定感を高めます。
  • 内省的傾聴 (Reflective Listening)
    クライエントの言葉の表面的な意味だけでなく、感情や意図を汲み取り、それを言葉にして返します。「~と感じていらっしゃるのですね」「つまり、~ということでしょうか?」といった応答は、クライエントの理解を深め、安心感を与えます。
  • 要約 (Summaries)
    話の流れの区切りや、重要なポイントを整理するために、クライエントの話を要約して伝えます。「ここまでの話をまとめると、~ということですね」といった要約は、クライエント自身の理解を助け、カウンセラーとの認識のずれを防ぎます。

キャリアコンサルタントの試験では、これらの原則やスキルに関する知識だけでなく、事例問題を通して、MIの考え方をどのように実際の相談場面で応用できるかが問われます。

クライエントの主体性を尊重し、共感的な姿勢で関わりながら、変化への動機を引き出すMIの習得は、効果的なキャリア支援を行う上で不可欠な要素と言えるでしょう。

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